
解体工事に立ち会うべきか悩んでいる方へ
自宅や所有している建物の解体工事を依頼するとき、「当日は立ち会いが必要なのか」「どこまで顔を出した方がいいのか」と迷う方は多いです。仕事を休んで一日中現場にいるべきなのか、それとも最初と最後だけで問題ないのか、初めての方には分かりづらいポイントですよね。
実は、解体工事の立ち会いにはいくつかのタイミングがあり、それぞれ役割が少しずつ異なります。また、現場でお客様と接することは、解体工事の仕事をするスタッフにとっても大切な役割のひとつです。
ここではまず、解体工事における立ち会いがどんな場面で必要になるのかを整理し、そのうえで立ち会い当日に確認しておきたいポイントを紹介します。あわせて、現場でお客様対応を行う「解体工事スタッフ」という仕事に興味がある方向けに、求人を見るときの視点もお伝えしていきます。
解体工事で立ち会いが必要になる主なタイミング
解体工事で施主の立ち会いが求められる場面として、多いのは次のようなタイミングです。
・工事着工前の最終打ち合わせ
・建物内部の残置物の確認
・境界やブロック塀など、撤去範囲の確認
・工事完了後の仕上がり確認と引き渡し
特に、どこまで解体するのか、残しておきたいものは何かといった点は、口頭だけでなく現場を一緒に見ながら確認しておくと安心です。「ここは残すつもりだった」「ここまで壊すとは思っていなかった」といった行き違いを防ぐためにも、着工前の立ち会いはできるだけ時間を取って行うのがおすすめです。
一日中付き添う必要はある?立ち会いの考え方
解体工事は数日から数週間にわたって行われることが多く、施主がずっと現場にいる必要は基本的にありません。多くの場合は、
・着工日の朝に立ち会う
・途中で気になる点があればその都度相談する
・完了日または完了前後に最終確認する
といった形で十分です。
もちろん、思い出のある自宅が壊されていく様子を見届けたいという方もいらっしゃいますし、細かな要望をその場で伝えたいという方もいます。その場合は、事前に「どの日にどんな作業を行うか」をスケジュールとして共有してもらい、都合のつく日だけ立ち会うようにすると負担が少なくなります。
立ち会い当日に確認しておきたいポイント
立ち会いをするときに「何を見ればいいのか分からない」と感じる方も少なくありません。ただ現場にいるだけでなく、いくつかのポイントを意識しておくと、工事の進み方や安全面についての不安がぐっと減ります。ここでは、着工前と完了時、それぞれの場面でチェックしておきたい項目を整理していきましょう。
着工前に確認しておくべきこと
着工前の立ち会いでは、次のような点をチェックしておくと安心です。
・解体範囲(建物、塀、樹木、駐車場など)の最終確認
・残しておく設備や配管の有無
・隣地との境界線の認識に相違がないか
・重機やトラックの出入りルート
・近隣あいさつや連絡体制
特に、ブロック塀や物置、庭木などは「含まれていると思っていた」「残ると思っていた」といった行き違いが生まれやすい部分です。その場で指をさしながら、「ここは撤去」「ここは残す」と確認しておくのがおすすめです。
工事中〜完了時に見ておきたいポイント
工事の中盤以降や完了時には、次のような視点で現場を見てみましょう。
・粉じん対策として散水が行われているか
・周辺道路や隣地に土やがれきが飛び散っていないか
・基礎部分の撤去状況(必要な部分まできちんと撤去されているか)
・整地の仕上がり(凹凸が大きくないか、水たまりになりそうな箇所はないか)
分からないことは遠慮なく質問して大丈夫です。「この部分はどうなりますか?」「ここまで撤去されていますか?」と具体的に聞くことで、担当者も説明しやすくなります。
立ち会いをスムーズにするための準備と心構え
解体工事の立ち会いは、専門知識がないと難しいというイメージがあるかもしれませんが、事前に少し準備をしておくだけで不安はかなり減ります。ここでは、施主側ができる準備と、当日の心構えについてお伝えします。難しいことではなく、ちょっとしたメモや確認の積み重ねで、工事全体がスムーズに進みやすくなります。
事前にしておきたい情報整理
立ち会い前に、次のようなことを紙やスマホにメモしておくと当日スムーズです。
・解体後の土地の使い方(駐車場、更地売却、建て替えなど)
・「ここだけは残したい」と思うもののリスト
・近隣との関係性や気になる点
・工事中の車の出入りについての希望
・工期や作業時間帯の希望
このような情報を伝えることで、業者側も配慮しやすくなります。「何となく不安」で終わらせず、「ここが少し心配です」と言葉にして共有することが大切です。
当日は担当者とのコミュニケーションを大切に
立ち会い当日には、現場の担当者や職長としっかりコミュニケーションを取ることが重要です。
・名刺や連絡先を交換しておく
・途中で気になることが出たら連絡してよい時間帯を確認する
・写真を撮っておいて良いか確認する
など、後から「聞いておけばよかった」ということにならないよう、最初に基本的なルールをすり合わせておくと安心です。
また、雨天時の対応や、予想外の埋設物が出てきた場合の進め方など、「もしも」のときの対応方針も聞いておくと、不測の事態にも落ち着いて対応しやすくなります。
解体工事の立ち会いを支える仕事|現場スタッフの役割と求人のポイント
ここまで、施主として解体工事に立ち会う側の視点でお話してきましたが、現場では「お客様の不安を解消しながら工事を進める」という役割を担うスタッフがいます。解体工事の求人に興味がある方にとっては、この「立ち会い対応」も仕事の大切な一部です。どんな人が向いているのか、求人を見るときにどこをチェックすべきかを見ていきましょう。
解体工事の現場スタッフに求められる役割
解体工事の現場スタッフは、重機を使って建物を壊すだけでなく、次のような役割も担っています。
・施主や近隣住民への簡単なあいさつや説明
・立ち会い時の撤去範囲の共有
・安全面に関する注意事項の説明
・工事中の様子を写真で記録し、必要に応じて共有
体力が必要な仕事である一方、コミュニケーションも重要な仕事です。施主の不安を和らげるような丁寧な説明ができるスタッフは、現場でも信頼されやすく、将来的に現場リーダーとして活躍する道も開けてきます。
解体工事の求人を見るときのチェックポイント
解体工事の仕事に興味があり、「立ち会い時のお客様対応にも関わってみたい」という方は、求人票の次の点を確認してみてください。
・未経験者に対する研修や教育体制があるか
・現場の安全教育やマニュアルが整っているか
・お客様対応について先輩がフォローしてくれる環境か
・資格取得支援(重機、玉掛け、中型免許など)があるか
・自宅から通いやすいエリアで現場が多いか
また、「地域密着で解体工事を行っている会社」は、施主との距離も近く、立ち会い時のコミュニケーションを大切にしている傾向があります。人と話すことが苦手でなければ、こうした会社で経験を積むことで、工事の技術だけでなく人との関わり方も学んでいくことができます。
立ち会いは“安心”のための時間|施主にも現場スタッフにも大切な機会
解体工事の立ち会いは、「必ず終日いなければならない」というものではありませんが、要所要所で顔を出して確認することで、工事への安心感は大きく変わります。解体範囲や仕上がりのイメージを共有し、近隣への配慮や安全面について担当者と話し合う時間は、トラブルを防ぎ、気持ちよく工事を進めるための大切な場面です。
一方で、解体工事の現場で働くスタッフにとっても、施主の立ち会い対応は重要な仕事の一部です。「ただ壊すだけ」の仕事ではなく、「人の暮らしの節目に寄り添う仕事」として、やりがいを感じながら働いている人も多くいます。
これから解体工事を依頼しようとしている方も、求人に興味がある方も、立ち会いの意味を理解しておくことで、不安が減り、前向きな気持ちで次の一歩を踏み出せるはずです。
